思い深いレコード

  • 2014/01/02 00:02
  • Category: BLUES
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HERWIN 92036 CHARLEY PETERS(PATTON) - "Load, I', Discouraged"

いつ聴いても”フー”と感嘆のため息しかでない。
Pattonのレコードは、いつも特別だ。特にこの盤は。

このレコード、実は、3.11の直前に友人から譲ってもらう約束ができていたが、震災発生により、一旦、見送らざるを得なかった。

関東にお住まいの方なら実感を持って聞いていただけると思うが、水道からの水も放射能に汚染されている、スーパーには、食べ物も水もない。そして、地震は続いた。

小さい子を持つ仲の良い社友の家の周りは、液状化して信じられないことになっていた。そして、彼は、会社に嘘をついて、西方面に避難した。それは、正しい行動だったと思う。
ボクの場合は、家人がちょうど関西の実家に帰省していた時だったので、そのまま、こちらには1ヶ月以上戻ってこさせなかった。その時、皆、それぞれの価値判断により、ある意味「決断」を迫られた時期だった。
勿論、東北にお住まいに方に比べれば、ボク達の大変は、屁みたいなものであることは、言うまでもない。

そんな時期に、レコードなんて買ってる場合か?という思いが当然よぎった。
そして、友人に、「残念だが、こんなことになった以上、Pattonは、諦める」とメールを出した。彼は、ボクの置かれている立場、思いを全て理解してくれており、分かったとの返信を受け取った。そして、「今後、生活が落ち着いて、レコードでも聴ける状態になり、もし、その時点でPattonが欲しくなったら連絡してくれ。オレは、その時まで、このレコードをおまえのために持っておく。このレコードは、オークション等で手放したくない。」との文章が添えられていた。

そして、約半年の月日が流れた。
決して、生活が落ち着いた訳ではなかった。他人から見れば馬鹿かと思われるが、この辺りの78を聴くことは、ボクの人生の中で、一定レベルの価値観を持つもので、決して無視できないものだ。
夏も終わりかけていた暑い日に、このレコードがボクの手許に到着した。

譲ってくれた友人にとっても、このレコードには思い入れがある。
彼が若い頃、Eメールなんていう便利な連絡手段がない頃の話である。彼は、ブルースの虜になっていた。そして、ブルース78sの最初期のコレクターの一人(仮にAという。1920sのブルースが好きな人間であれば知っている名前であるが、ここで言う必要もないので記載しない。)に手紙を出し、何とかコンタクトをとれる関係を構築し、そのコレクターが亡くなるまで、その関係は続いた。その関係の中で、某コレクターの個人的コレクションの1枚として友人が入手して持っていたものである。友人は、そのAという人物からホントに良くしてもらったようである。彼と話していると、ことあるごとに、Aの名前が出てくる。「自分がAから受けたことと同じように、友人には接したいと思う。」と....

そして、現在は、そのレコードがボクの手許にある。
このレコードをターンテーブルに乗せるたびに、ボクは、その友人のことを考える。彼との関係も随分長くなったが、ボクの大切な友人でもあり、78sコレクトの先生でもある。有り難いことだ。

何のコレクターの世界でもそうだと思うが、物欲のぶつかり合いでえげつないことはしばしば起こる。また、誰が何々を$$で手に入れた、安すぎないか?とか、某人が途方も無い$$でビットしやがって、チッとかね、実生活からみれば下らないことが多い、実際。
だから、綺麗事を言うつもりは決してない。しかし、それだけでもない。








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Comment

ドクた、

おめでとうゴザイマス 木下閣下さま
昨年は大変お世話になりました

フム、ドロドロした物欲世界において
近年ごく稀に見る心温まるお話

新春・こころ新たに漁る意欲も湧いてくる
っちゅぅ~キモチになりました(笑)。
  • URL
  • 2014/01/02 20:45

きのした

ドクた、殿

新年明けましておめでとうございます。
お互い、今年も、良いレコード、音源に出会えると良いですねえ。
今後とも、よろしくお願いいたします。
  • URL
  • 2014/01/03 11:20

Ogitetsu

良い音楽と聞かせていただきました。
レコードにまつわる良いお話も。

チャーリー・パットンのゴスペル?良いですね。
シミジミトします。
数回、聞いてしまいました。

彼の様に怪しげな生活をしていた人でも、気持ちが弱くなったり、落ち込んだ時には、この様な歌を口ずさんでいたんでしょうね。
  • URL
  • 2014/01/03 12:58
  • Edit

きのした

オギテツさん

どうもです。
おっしゃる通り、ゴスペルです。

Pattonの残したレコードのうちで、好きなタイトルの一つです。
歌詞も好きなんです。

  • URL
  • 2014/01/04 19:17

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